第２夜　　亡霊

　私は池のほとりを歩いていた。
　すると、前から４歳ぐらいの男の子をつれた若い男がやってきた。
　その子が私の背中の方を指さし突然泣きだした。

　「．．．．あの人の背中に　恐い物がいる。」

　私は、すぐ側の池に自分の姿を写してみた。
　すると、　私の背には、干からびた老人のような胎児が、背負われる様に
　しっかりと　しがみついているのがわかった。
　私はその胎児を振り落とそうとしたが、老人の手はしっかりと首に絡みつき、振り落とせなかった。

　その胎児は私に言った。

　「無駄な事だ。　俺はおまえに一生つきまとってやる。
　　おまえは、もう　俺から逃げる事などできないのだ。」